2017年05月08日

課題が難しい時、自己制御欲求は逆効果

課題が難しい(要求水準が高い)場合、自己制御(自己調整)欲求は逆効果になるという研究があります。

Uziel, L., & Baumeister, R. F. (2017). The Self-Control Irony: Desire for Self-Control Limits Exertion of Self-Control in Demanding Settings. Personality & Social Psychology Bulletin, 43(5), 693-705. DOI: 10.1177/0146167217695555.

イスラエルのバル=イラン大学社会科学部心理学教室、オーストラリアのクイーンズランド大学心理学研究科兼アメリカのフロリダ州立大学心理学部の研究者2名による共著論文です。

自己制御は適応的な能力だとして、その力をつけることが推奨されています。しかし、自己制御力をつけたいという欲求の影響についてはほとんど分かっていません。そこで、本研究では自己制御欲求が自己制御能力に与える影響を調べることを目的としました。

全部で4つの研究(N = 635)を行いました。

研究1(Study 1)では、自己制御欲求が高いと、要求水準が高い課題の成績が低くなりましたが、単純な課題の成績は低くなりませんでした。続きを読む

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2017年05月01日

実行機能の枯渇は心の理論の障害を引き起こす

就学前期の子供に、「実行機能の枯渇」を生じさることが可能で、それにより心の理論課題の成績が低下するという研究があります。

Powell, L. J., & Carey, S. (2017). Executive function depletion in children and its impact on theory of mind. Cognition, 164, 150-162. doi:10.1016/j.cognition.2017.03.022.

アメリカのマサチューセッツ工科大学脳認知科学研究科とハーバード大学心理学研究科の研究者2名による共著論文です。

本研究の目的は2つでした。1つは、自己制御(自己調整)した直後に実行機能が要求される課題をすると、成績が低下するという大人での知見が就学前児童でも当てはまるかどうか調べることでした。これは実験1と実験3で検証しました。もう1つは、実行機能枯渇実験の手続きを用いて、子供の心の理論における実行機能の役割を調べることでした。これは実験2と実験4で検証しました。

その結果、就学前児童でも実行機能の枯渇現象が生じました。また、実験2において、実行機能の枯渇が、他者の誤信念に基づきその行動を予測する5歳児の能力を低下させました。実験4では、他者の誤信念に基づきその行動を説明する4-5歳児の能力が、実行機能の枯渇で低下しました。続きを読む

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