2017年10月09日

自傷傾向が高いと自分に見立てた人形にピンを刺しまくる


心理学には呪いの人形課題(Voodoo Doll Task,VDT)という実験手続きがあります。呪いの人形課題とは、誰か他者に見立てた人形にどれだけピンや釘を刺すかで、その他者への攻撃を測る課題のことです。人形は実際のものでもかまいませんし、コンピュータで画像提示するだけでもかまいません。ただし、教示ではVoodoo(呪術)という言葉を使いません。

今回は、その呪いの人形課題を応用して、自傷傾向を測る課題を開発した研究を取り上げます。名付けて、呪いの人形自傷課題(Voodoo Doll Self-Injury Task,VDSIT)です。つまり、人形が表象するのを他者ではなく自己とすることで、呪いの人形課題を活用して自傷傾向を測ることができるというのです。

Chester, D. S., Whitt, Z. T., Davis, T. S., & Dewall, C. N. (2017). The Voodoo Doll Self-Injury Task: A New Measure of Sub-Clinical Self-Harm Tendencies. Journal of Social & Clinical Psychology, 36(7), 554-579. doi:10.1521/jscp.2017.36.7.554.

アメリカのバージニア・コモンウェルス大学心理学研究室、ケンタッキー大学心理学研究室、バークレーウエルビーイング研究所(Berkeley Well-Being Institute)の研究者による論文です。

〇研究1

研究1の目的は2つでした。1つは、自傷経験のある人達の方が、VDSIT得点が高くなるかどうか検証することでした。もう1つは、自傷傾向を高めることで知られる社会的排斥により、VDSIT得点が高くなるかどうか検討することでした。続きを読む

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2016年09月18日

Googleで去年の西暦の検索が多い地域は自殺率が高い

Googleで去年の西暦の検索が多いアメリカ合衆国の州は自殺率が高いという研究があります。「去年の西暦」とはまどろっこしい書き方です。しかし、「去年」だけだと、去年に起こった出来事と勘違いする人がでるかもしれず、「去年の西暦」としました。というのも、ここでのGoogle検索は純粋に「年」のことだからです。

Lee, D., Lee, H., & Choi, M. (2016). Examining the relationship between past orientation and US suicide rates: an analysis using big data-driven Google search queries. Journal of Medical Internet Research, 18(2):e35 DOI: 10.2196/jmir.4981.

大韓民国(韓国)のKAIST(Korea Advanced Institute of Science and Technology,韓国科学技術院)イノベーションテクノロジーマネジメント大学院、大洞病院(Dae-Dong Hospita)小児科学研究室の研究者達による論文です。

過去指向をGoogle Trendsによる検索クエリデータにより定量化。具体的には、とある年の前後1年に関する検索クエリ(検索ボリューム)の割合の比をとり、過去指向としました。たとえば、2009年の過去指向の算出では、「2008」の検索ボリュームの割合と「2010」の検索ボリュームの割合の比率をとりました。

過去指向は全米50州とワシントンD.C.(コロンビア特別区)で、2004年から2012年にわたり計算。なお、インターネット統計サイト、インターネット・ライブ・スタッツ(internet live stats)によると、アメリカでのインターネット普及率は2004年で64.76%、2012年で81.03%だったとのことです。続きを読む

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2016年02月09日

第一次世界大戦中は男性の自殺率が低かった(愛)

アイルランドで第一次世界大戦中に自殺率が低下しており、特に男性で顕著だという調査報告が英国王立精神医学会のオープンアクセス誌、『British Journal of Psychiatry Open(BJPsych Open)』に掲載されています。

アイルランドの漢字表記は愛蘭(土)ですから、記事タイトルの最後に「愛」をつけました。決しておふざけではありません。

Osman, M., & Parnell, A. C. (2015). Effect of the First World War on suicide rates in Ireland: an investigation of the 1864–1921 suicide trends. British Journal of Psychiatry Open, 1(2), 164-165. DOI: 10.1192/bjpo.bp.115.000539.

アイルランド国立大学ダブリン校(ユニバーシティ・カレッジ・ダブリン)数理科学研究科数学統計学教室の先生と同大学の精神医学やコンピュータ情報科学を専門とする先生2名よる共著論文です。

用いたアイルランドの自殺率データは1864年から1921年のものでした。このデータはアイルランド中央統計局のサイトから入手しました。統計学的解析方法は分割時系列デザイン(interrupted time series design:ITSデザイン)によりました。

*分割時系列デザインとはある出来事が起こった年度の前後を比較してその出来事の影響力を推定する統計学的手法のことです。と偉そうなことを書きながら実は分割時系列デザインを用いた論文を読むのは初めてなので少し難しかったです。以下、論文から読み取れたことだけ書きます。続きを読む

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