2018年06月25日

交流バイアスは協力を高め、忘却による協力率の低下を弱める


我々はあらゆる人と平等に交流しているわけではありません。ある特定の相手との交流が多かったり少なかったりします。今回は、そのような交流バイアスが協力を高め、記憶違いによる協力率の低下も緩和するという研究です。

Stevens, J. R., Woike, J. K., Schooler, L. J., Lindner, S., & Pachur, T. (2018). Social contact patterns can buffer costs of forgetting in the evolution of cooperation. Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences, 285:20180407. DOI: 10.1098/rspb.2018.0407.

アメリカのネブラスカ大学リンカーン校心理学科脳生物学行動センター、シラキュース大学心理学科、ドイツのマックス・プランク研究所人間発達部門適応行動認知センター、同研究所適応的合理性センター、同研究所適応的行動認知センター、ドイツ経済研究所(Deutsches Institut für Wirtschaftsforschung)、ベルリン工科大学心理学人間工学研究科の研究者による論文です。

協力の進化の解析では2つの単純化した仮定に依拠していることが多いです。

つまり、1.他の社会的ネットワークメンバーと交流する頻度は相手によって違わない2.各々のパートナーの協力/裏切りという過去の行動を正確に覚えている/思い出せる、という2つの仮定は現実的ではありません。

そこで、もっと現実的で歪んだコンタクトのパターン(ネットワークメンバーの一部の人とだけ交流することが多いというコンタクト様式)が協力に与える影響を調査することを本研究の目的としました。また、記憶の間違い(忘却)による協力の減少を、歪んだコンタクト様式が中和するかどうかということも検証しました。さらに、忘れた交流がランダムな行為に置き換わる記憶エラーと、忘れた交流が以前の出会いでの行為に置き換わる記憶エラーの2つを比較しました。

繰り返し囚人のジレンマゲームの進化シミュレーションを作成したのですが、主体のコンタクトパターン、忘却率、記憶エラーの種類の設定に変動を持たせました。その結果、交流相手にバイアスがある方が協力が増強され、忘却の悪影響が緩和されました。記憶エラーの種類も協力率に影響したとのことですが、アブストラクトだけでは詳細は分かりません。

協力研究一覧
協力と認知は共進化可能

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posted by マーキュリー2世 at 01:50 | Comment(2) | 社会心理学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
脳のニューロンは活動電位の発火が確率的なところがあり、確率的であれば信頼性がなくなると思うのですが、脳の高度な機能は、ニューロン一つではなく、多数でニューロンでなっているので、その確率性を補っているということですか?
Posted by くさみ at 2018年09月04日 05:11
お返事、遅くなってしまい申し訳ありません。お返事が遅れたのは、貴殿の責任ではなく、私の未熟さ所以なので気になさらなくてけっこうです。

なんだか、いまひとつかみ合わないところがありますね。この記事で取り上げた研究はニューロンの話ではありませんよ。もしかしたら、ニューロンにも該当するかもしれませんが、少なくともアブストラクトを読んだ限りではニューロンの話ではありません。
Posted by マーキュリー2世 at 2018年09月20日 08:21
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