2017年07月23日

セロトニン濃度が高いと友達との幸福共有効果が低い


セロトニン濃度が高いほど、友達との幸福共有効果が低いという研究があります。具体的には、唾液中セロトニン濃度が高いほど、自分も友達も目標を達成しても幸せはそんなに高くないと思うのです。また、唾液中セロトニン濃度が高いほど、共感の内の視点取得が低いという結果も得られました。

Matsunaga, M., Ishii, K., Ohtsubo, Y., Noguchi, Y., Ochi, M., & Yamasue, H. (2017). Association between salivary serotonin and the social sharing of happiness. PLoS ONE, 12(7): e0180391. doi:10.1371/journal.pone.0180391.

愛知医科大学医学部衛生学講座の松永昌宏講師、神戸大学大学院人文学研究科・文学部文化心理学研究室の石井敬子准教授、同大学同研究室の越智美早修士課程(OB)、同大学進化社会心理学研究室の大坪庸介准教授、同大学社会動態専攻の野口泰基准教授、浜松医科大学医学部精神医学講座の山末英典教授による論文です。

参加者は、セロトニン系に作用する向精神薬を服用していない神戸大学の大学生213名(平均年齢19.26歳,範囲18〜25歳)。男子学生100名、女子大生112名、性別不明1名。ただし、気分が悪くなったり、質問紙への回答が不完全だったりなどの理由で全員のデータを解析したわけではありません(質問紙への回答が不十分な場合は残りの回答をデータ解析に使った場合もあり)。女性の平均年齢は19.036歳、男性の平均年齢は19.500歳と、男性の方が有意に年齢が高くなりました。女性のBMIの平均値は20.252、男性のBMIの平均値は20.948と、男性の方が有意に高くなりました。

共感特性の評定に日本語版対人反応性指標(Interpersonal Reactivity Index-Japanese version,IRI-J)を使用。IRI-Jは質問数が28項目あり、5件法での回答を要請。IRI-Jでは視点取得、想像性、共感的関心、個人的苦痛という4つの共感性を測ることが可能です。本研究でのクロンバックのα係数は低く、視点取得で0.63、想像性で0.55、共感的関心で0.36、個人的苦痛で0.73でした。特に共感的関心のクロンバックのα係数が低かったので、データ解析に用いませんでした。

参加者には9つの仮想状況に対して感じる幸福感を回答してもらいました。その9つの状況とは、「質問紙回答者が目標を達成した・目標を達成できなかった・目標を達成する途中」×「友達への言及なし・友達が目標を達成した・友達が目標を達成できなかった」の組み合わせのことでした。なお、友達については参加者と同性の友人を考えてもらいました。幸福感は7件法のリッカート尺度での評価を求めました。

幼少期の参加者への親の注意/世話(attention)の程度の評定は、6件法のリッカート尺度でした。母親と父親で別々に評定しました。評定者は参加者自身でした。

セロトニン濃度を測るため、唾液サンプルを午前11時〜午後1時の間に採取。

その結果、男性より女性の方が想像性が高くなりました。自分も友達も目標を達成できた時に感じるであろう幸福感の予想は、男性より女性の方が高くなりました。

自己条件で幸福感が高い順に、自分(研究協力者)が目標達成成功>自分が目標達成の途上>自分が目標達成失敗となりました。

友達条件で幸福感が高い順に、友達が目標達成成功>友達への言及なし>友達が目標達成失敗となりました。自分が目標達成成功条件で幸福感が高い順に、友達が目標達成成功>友達への言及なし>友達が目標達成失敗となりました。しかし、自分が目標達成の途上であると、幸福感が高い順に友達が目標達成成功・友達への言及なし>友達が目標達成失敗と、友達が目標達成成功条件と友達への言及なし条件で有意差が検出されませんでした。また、自分の目標達成が失敗する条件だと、幸福感が高い順に友達が目標達成成功>友達が目標達成失敗・友達への言及なしとなり、友達が目標達成失敗条件と友達への言及なし条件の間に有意差が検出されませんでした。

共感特性の内、視点取得が高いほど、自分が目標達成成功で友達への言及なしの条件の幸福感(r = 0.179)、自分が目標達成成功で友達も目標達成成功の条件の幸福感(r = 0.175)が高くなりました。想像性が高いほど、自分が目標達成成功で友達が目標達成失敗の条件の幸福感(r = 0.180)と自分が目標達成の途上で友達が目標達成失敗の条件の幸福感(r = 0.227)が高くなり、自分が目標達成失敗で友達が目標達成成功の幸福感(r = −0.137)が低くなりました。個人的苦痛では有意な相関関係が検出されませんでした。

唾液中セロトニン濃度が高いほど、視点取得が低くなりました(r = −0.159)。唾液中セロトニン濃度は想像性(r = −0.092)や個人的苦痛(r = 0.001)とは有意な相関関係を示しませんでした。唾液中セロトニン濃度が高いほど、自分も友達も目標達成成功条件での幸福感が低くなりました(r = −0.194)。唾液中セロトニン濃度が高いほど、自分が目標達成成功で友達への言及なし条件での幸福感が低かったのは有意傾向にとどまりました(r = −0.145)。また、唾液中セロトニン濃度が高いほど、自分が目標達成失敗で友達が目標達成成功条件での幸福感が高かったのも有意傾向でした(r = 0.133)。

重回帰分析で年齢、性別、BMI、飲酒習慣の影響を取り除いた後でも、唾液中セロトニン濃度が高いほど、視点取得が低くなりました(β = −0.163,自由度調整済みR2乗 = 0.043)。

重回帰分析で年齢、性別、BMI、飲酒習慣の影響を統制した後でも、唾液中セロトニン濃度が高いほど、自分も友達も目標達成成功条件での幸福感が低くなりました(β = −0.200,自由度調整済みR2乗 = 0.074)。

重回帰分析で自分も友達も目標達成を成功した時の幸福感を有意に予測したのは、唾液中セロトニン濃度(β = −0.170)で、視点取得による予測は有意傾向にとどまりました(β = 0.142)。

唾液中セロトニン濃度を有意に予測したのは幼少期の母親による注意/世話のみで(β = −0.150)、性別や年齢、BMI、飲酒習慣、幼少期の父親による注意/世話では唾液中セロトニン濃度を有意に予測できませんでした。

幼少期の母親による注意/世話が高いほど、視点取得(r = 0.192)や自分も友達も目標達成を成功したと想像した時の幸福感(r = 0.177)が高くなりました。

なお、幼少期の父親からの注意/世話は、男性より女性の方が高く評定していました。

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posted by マーキュリー2世 at 23:25 | Comment(0) | TrackBack(0) | 感情心理学・情動心理学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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