2017年07月17日

ハッザ族は夜でも誰かが起きていることが多い

タンザニアの狩猟採集民、ハッザ族は夜に全員寝ることは稀で、誰かが覚醒していることが大半という研究があります。

Samson, D. R., Crittenden, A. N., Mabulla, I. A., Mabulla, A. Z. P., & Nunn, C. L. (2017). Chronotype variation drives night-time sentinel-like behaviour in hunter–gatherers. Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences, 284:20170967. DOI: 10.1098/rspb.2017.0967.

カナダのトロント大学人類学研究室、アメリカのデューク大学進化人類学研究室、同大学デューク世界衛生研究所(Duke Global Health Institute)、ネバダ大学ラスベガス校人類学研究室、タンザニアのダルエスサラーム大学資源評価研究所(Institute of Resource Assessment)、同大学人類学遺産学研究室の研究者による論文です。

狩猟採集民族、ハッザ族(Hadza族)の夜の活動パターンを、身体活動や睡眠-覚醒リズムを測ることのできる加速度センサー、アクティグラフィー(アクチグラフィー)で計測した研究です。

その結果、20日間の観察期間中、全員が眠っていた時間は18分だけで、夜通し起きていたハッザ族の人数の中央値は8人でした。つまり、初めの人が眠りについてから最後の人が起床するまでの時間の99.8%は誰かが起きていたか、ウトウトするぐらいだったのです。

睡眠/覚醒の個人差はクロノタイプと関連していて、クロノタイプは年齢と関係していました。つまり、集団に異なる年齢の人がいるとそれだけ、夜に誰かが起きていることが多いと考えられました。

*クロノタイプとは、睡眠/覚醒・活動リズムの個人差を表す用語で、簡単にいってしまえば「朝型-夜型」のことです。

人間にとって睡眠は欠かせない生理現象ですが、睡眠時に捕食されたり、同じ人間でも敵対関係にある人や集団から攻撃されたり、自然災害などで命を落としやすくなるという危険と隣り合わせです。このリスクを下げるには、睡眠をとる夜分に誰かが起き、警戒している必要があります(集団生活の場合)。今回の研究はまさにこの「夜に誰かが起きている」ことをハッザ族を研究対象として実証したもので、「哨兵仮説(sentinel hypothesis)」を支持します。ただし、本研究だけでは、「夜に誰かが起きている」ことで本当に睡眠時の危険を回避/緩和できるかどうかは不明です。

なお、ハッザ族は時間の概念を持たないとされます。なので、今回の研究成果をそのまま時間の概念がある他の民族に般化して考えない方がいいです。ただ、現代人にも夜型人間や中途覚醒を示す人がいるのは、もしかしたら睡眠中に起こる命の危険を減らす方向に自然選択による進化が働いた結果かもしれません。

*中途覚醒とは夜中に何度も目が覚めることです。

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posted by マーキュリー2世 at 15:11 | Comment(0) | TrackBack(0) | 睡眠 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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