2017年11月05日

Q&Aサイトでのネガティブな告白は罪悪感から解放されるため


Q&Aサイトでのネガティブな事柄に関する自己開示は罪悪感から解放されるためだという研究があります。ただし、このことを直接立証したのではなく、あくまでも間接的なエビデンスが得られたというレベルの話です。

具体的には、罪悪感を弱める回答がベストアンサーに選ばれたり、他のユーザーから罪悪感を低下させるような回答を受けると、罪滅ぼしとなる向社会的行動(他者の質問への回答)が低下するという結果が得られました。後者は、罪悪感を低下させるような回答を受けて罪悪感が下がると、罪滅ぼしをする必要性が薄れ、向社会的行動が低下するというメカニズムが想定されました。

Levontin, L., & Yom-Tov, E. (2017). Negative Self-Disclosure on the Web: The Role of Guilt Relief. Frontiers in Psychology: Personality & Social Psychology, 8:1068. doi: 10.3389/fpsyg.2017.01068.

イスラエル・ハイファ地区のイスラエル工科大学産業工学マネジメント研究室、イスラエル・ヘルツリーヤのイスラエルマイクロソフト研究開発センター(R&D Center)の研究者による論文です。

データセットの準備:Q&Aサイト、Yahoo!知恵袋の英語版であるYahoo Answersで罪悪感を意味する“guilt”や “guilty”が入った質問を検索し、984個の質問を抽出。「CrowdFlower」というクラウドソーシングサービスの協力者5名による判定で、個人的な罪悪感とは関係のない質問を除外。個人的罪悪感かどうかの判定結果が4人以上の協力者で一致した質問は79%。最終的に個人的罪悪感に関する質問が437個残りました。

質問1つに対する、Yahoo Answersのユーザーからの回答数は1〜50個までありました(総数2,587個,1質問あたりの平均回答数8.80個, SD = 8.50)。このデータセットからランダムに448個の回答を選択しました。448個の回答に対応する質問数は267個で、1つの質問につき平均して1.7個(SD = 1.40)の回答が寄せられていました。

CrowdFlowerから参加した5名の判定者は、各々の回答について、どれだけ罪悪感から解放されるか7件法で評定。5名の判定者の回答を平均して罪悪感緩和得点を算出(平均値 = 4.53, SD = 1.06,範囲1.2〜6.8)。

Yahoo Answersの質問者がベストアンサーに選んだ回答もチェックしました。今回のデータでは12.3%(55個)の回答がベストアンサーに選ばれていました。

Yahoo Answersではユーザーが「thumbs-up(いいね!)」、「thumbs-down(よくないね!)」で自分の質問への回答以外でも評価できる仕組みになっています。そこで、「いいね!」マイナス「よくないね!」が最大の回答をコミュニティが選んだベストアンサーとしました。

今回のデータセットでは、thumbs-upが平均して0.62個(SD = 1.17, 範囲0〜8)でした。最多は「いいね!」が0個で65%を占めました。「いいね!」が1つだけだったのが21.4%でした。thumbs-downは平均して0.40個(SD = 0.94, 範囲0〜9)でした。最多は「よくないね!」が0個の場合で76.6%、次が「よくないね!」が1個の13.2%でした。thumbs-up/thumbs-downによる評定ではベストアンサーが16.1%(72個)となりました。

データを精査した結果、第三者評定で罪悪感緩和性が高かった回答が、質問者からベストアンサーに選択される可能性が高くなりました。これは、回答数、「いいね!」の数、回答の順番を統制した結果でした。

ベストアンサーを選ぶのが質問者ではなく、他のユーザーである場合(「いいね!」マイナス「よくないね!」が最大の回答をベストアンサーとした場合)、回答の罪悪感緩和性、回答数、回答の順番、これらの変数の交互作用でベストアンサーを予測することはできませんでした。

これらの結果から、回答の罪悪感緩和性が重要になるのは、ネガティブなことを自己開示した質問者本人が回答を評価した場合で、他者による評価の場合では問題とならないことが読み取れます。

また、受けた回答が罪悪感を弱めるものであると、質問者が他のユーザーの質問に回答する傾向(向社会的行動)が低くなりました。なお、他者の質問に回答すると、2ポイントが付与されたり、ベストアンサーに選ばれる可能性があるといった誘因があったことにも留意すべきです。つまり、本研究での他者の質問への回答は、報奨がもらえる可能性のある向社会的行動となります。

罪悪感研究一覧
怒り・罪悪感イベントの反すうで出来事が最近起こったように感じられる

スポンサードリンク

posted by マーキュリー2世 at 22:29 | Comment(0) | TrackBack(0) | インターネット心理学(SNS等を含む) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック