2017年05月01日

実行機能の枯渇は心の理論の障害を引き起こす

就学前期の子供に、「実行機能の枯渇」を生じさることが可能で、それにより心の理論課題の成績が低下するという研究があります。

Powell, L. J., & Carey, S. (2017). Executive function depletion in children and its impact on theory of mind. Cognition, 164, 150-162. doi:10.1016/j.cognition.2017.03.022.

アメリカのマサチューセッツ工科大学脳認知科学研究科とハーバード大学心理学研究科の研究者2名による共著論文です。

本研究の目的は2つでした。1つは、自己制御(自己調整)した直後に実行機能が要求される課題をすると、成績が低下するという大人での知見が就学前児童でも当てはまるかどうか調べることでした。これは実験1と実験3で検証しました。もう1つは、実行機能枯渇実験の手続きを用いて、子供の心の理論における実行機能の役割を調べることでした。これは実験2と実験4で検証しました。

その結果、就学前児童でも実行機能の枯渇現象が生じました。また、実験2において、実行機能の枯渇が、他者の誤信念に基づきその行動を予測する5歳児の能力を低下させました。実験4では、他者の誤信念に基づきその行動を説明する4-5歳児の能力が、実行機能の枯渇で低下しました。

これらの結果は、就学前の子供が他者の誤信念を理解することや誤信念に基づき他者の行動を予測、説明することに、実行機能が必要であることを示唆します。自閉症スペクトラム障害/自閉症スペクトラム症(Autism Spectrum Disorder,ASD)の人には実行機能の障害がある人が多いとされていますが、ASD児・者で心の理論に障害がある場合には実行機能の役割について考える必要があるかもしれません。

なお、ASD児・者の実行機能(の障害)について詳しく知りたい方は、私の別のブログ「心理学、脳科学の最新研究ニュース」で検索してみてください。以下は検索例です。この例では率直に「”自閉症” ”実行機能”」と検索していますが、「”自閉症” ”ワーキングメモリ”」「”自閉症” ”反応抑制”」と検索してみても良いでしょう。あるいは、「”自閉症” ”ストループ”」などのように実験課題名と一緒に検索することも考えられますが、実験タスクとの検索は上手くヒットしてくれません。

「心理学、脳科学の最新研究ニュース」で”自閉症” ”実行機能”と検索すると…

〇心の理論研究
心の理論が発達している幼児は独裁者ゲームで他の子供との共有が少ない

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posted by マーキュリー2世 at 22:29 | Comment(0) | TrackBack(0) | 発達心理学・発達障害 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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