2016年10月02日

精神科医の表情認知力に関する調査

精神科医の表情認知能力を調べた研究があります。精神科医が心理療法志向なのか精神薬理学志向なのか、成人精神科医なのか児童青年精神科医なのかといった違いの影響も調べています。

Dalkıran, M., Gultekin, G., Yuksek, E., Varsak, N., Gul, H., Kıncır, Z., Tasdemir, A., & Emul, M. (2016). Facial emotion recognition in psychiatrists and influences of their therapeutic identification on that ability. Comprehensive Psychiatry, 69, 30-35. doi:10.1016/j.comppsych.2016.04.008.

トルコ(イスタンブル)のシシリ・エトファル教育研究病院(Sisli Etfal Education and Research Hospital)精神医学研究科、イスタンブル大学ジェラパシャ医科大学精神医学研究科、ヴィランシェヒル郡立病院精神医学クリニック、コンヤ(コニヤ)教育研究病院精神医学研究科、カフラマンマラシュ県立病院精神医学クリニック、Bakırköy精神衛生神経性疾患教育研究病院精神医学研究科の研究者による論文です。

実験参加者は130名の精神科医。表情認知テストには心理学者のポール・エクマンとウォレス・フリーセンの顔写真刺激を使用。表情の種類は幸せ、悲しみ、恐れ、怒り、驚き、嫌悪の基本6表情と中性(無表情)。

大人を相手にする成人精神科医では、精神薬理学志向の精神科医よりも心理療法志向の精神科医の方が悲しい表情の認知力が高くなりました。一方、児童青年精神科医では精神薬理学志向の人と心理療法志向の人で有意差が検出されませんでした。

児童青年精神科医よりも成人精神科医の方が恐怖表情と嫌悪表情の認知力が高く、成人精神科医よりも児童青年精神科医の方が怒り表情の認知力が高くなりました。

論文抄録では、これらの表情認知力の違いが、患者と臨床家の交流の質や治療結果に与える影響を調べる価値があるとしています。

普通の研究は、精神障害がある人の表情認知力を検査したものが主流です。しかし、今回は精神科医自身の表情認知力の検査というのが面白いですね。なお、過去には精神科医やサイコロジスト(心理士)が自らSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)のパロキセチン(パキシル)または偽薬(プラセボ)を飲んで情動への影響を調査した研究(Besnier et al., 2010)がありました。

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posted by マーキュリー2世 at 20:18 | Comment(0) | TrackBack(0) | 心理療法、臨床心理学、精神医学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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