2016年08月15日

姿勢を正すとポジティブ感情が高まり、疲労感が低下する

軽度抑うつ状態や中等度抑うつ状態の人達は姿勢が悪く、うなだれた姿勢をしている傾向にあります。しかし、背筋を伸ばして姿勢を正すと、ポジティブ感情が高まり、疲労感が低下、おしゃべりになるという研究があります。

Wilkes, C., Kydd, R., Sagar, M., & Broadbent, E. (2017). Upright posture improves affect and fatigue in people with depressive symptoms. Journal of Behavior Therapy & Experimental Psychiatry, 54, 143-149. doi:10.1016/j.jbtep.2016.07.015.

ニュージーランドのオークランド大学精神医療研究室&生体工学研究所の研究者による論文です。

軽度から中等度の抑うつ症状を示す人61名が研究に参加。彼らを普段通りの姿勢で座る群と背筋を伸ばして座る群とにランダムに割り当て。実験課題は試験官社会的ストレステスト(Trier Social Stress Test,TSST)。感情や疲労感の変化を評定。スピーチ中に喋った単語を分析。

*試験官社会的ストレステストとは、試験官の前でスピーチをした後に暗算をする社会的ストレス課題のことです。詳しくは私の別のブログ『緘黙ブログー不安の心理学、脳科学的知見からー』の記事「ストレスで離人症・現実感喪失症になりやすい社会不安障害患者」や「TSSTで発話の機能性が高まり、ポーズ時間が長くなる」を参考にしてください。

実験の結果、軽度抑うつ状態・中等度抑うつ状態の人達は、ベースラインで標準化データよりもうなだれた姿勢(slumped posture)をしており、前かがみ状態でした。猫背のような感じですね。背筋を伸ばして(upright posture)座る群は普段通りの姿勢で座る群と比較して、姿勢が改善しただけでなく、高い覚醒水準のポジティブ感情が高まり、疲労感が低下しました。

普段通りの姿勢で座る群と比較して、背筋を伸ばして座る群はTSSTのスピーチで言う単語数が多くなり、1人称単数代名詞(私・自分・俺など)が少なくなり、悲しみ関連の単語を多く使いました。普段通りの姿勢で座る群でも背筋を伸ばして座る群でも、肩角度が直立、真っ直ぐなほどネガティブ感情や不安が低くなりました。

本研究は、健康な人達が姿勢を正すと自尊心や気分が向上するという先行研究を受けて、抑うつ症状がある人達が姿勢を良くするとどうなるか?という疑問を検証した内容です。今後、軽度抑うつ状態の人や中等度抑うつ状態の人のみならず、臨床的うつ病(大うつ病性障害)の患者さんが参加する「姿勢療法」の臨床試験が始まるかもしれません。いや、もしかしたら私が知らないだけで、すでに始まっている、あるいは論文がでているかもしれませんが。

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posted by マーキュリー2世 at 20:20 | Comment(0) | TrackBack(0) | 心理療法、臨床心理学、精神医学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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