2015年05月15日

自己制御のコスト(負の側面)

自己制御にはコストがあるという論文が公刊されました。自己制御(セルフコントロール)とは自分の感情や欲求、行動などを統制する力のことです。特に「自己制御と衝動性」という研究分野では、自己制御とはすぐにもらえる小さな報酬(即時小報酬)を我慢して、将来もらえる大きな報酬(遅延大報酬)を獲得する能力のことを指したりします。これはいわゆる遅延割引の研究になります(実際には遅延割引以外にも自己制御を測る方法はありますが、ここでは例としてとりあげています)。子供の頃に自己制御力が高かったら大人になってからの失業リスクが低いとされる(Daly et al., 2015)など、自己制御は良い側面があります。

*Daly et al.(2015)とは以下の文献のこと。
Daly, M., Delaney, L., Egan, M., & Baumeister, R. F. (2015). Childhood Self-Control and Unemployment Throughout the Life Span Evidence From Two British Cohort Studies. Psychological Science, doi: 10.1177/09567976155690010956797615569001.

しかし、今回は自己制御のダークサイド(負の側面)を調べました。

Koval, C. Z., vanDellen, M. R., Fitzsimons, G. M., & Ranby, K. W. (2015). The burden of responsibility: Interpersonal costs of high self-control. Journal of Personality & Social Psychology, 108(5), 750-766. doi:10.1037/pspi0000015.

デューク大学フュークアビジネス研究科マネジメント組織学、ジョージア大学心理学部、コロラド大学デンバー校心理学部の研究者達による論文です。

Study1とStudy2で自己制御能力が高い人に対する観察者(第三者)の期待が高いことが示されました(vs. 自己制御能力が低い人)。

Study3で第三者は自己制御が高い人に多くの仕事または過度に負担がかかる仕事をまかせることが示唆されました(vs. 自己制御能力が低い人)。

Study4では第三者は自己制御力が高い人は自己制御能力が低い人よりも仕事にかかる労力が低いと思っていたのに対し、仕事をやる張本人はそう思っていない結果となりました。

Study5では同僚から頼られることで自己制御力が高い人は心理的負担を高く感じていました(vs. 自己制御能力が低い人)。Study6では恋人から頼られることを自己制御力が高い人は負担に感じており、これが関係満足度を低下させていることが示唆されました。

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posted by マーキュリー2世 at 18:38 | Comment(0) | TrackBack(0) | 認知心理学、認知神経科学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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