2015年02月22日

心の理論が発達している幼児は独裁者ゲームで他の子供との共有が少ない

心の理論が発達している幼児は独裁者ゲームで他の子供にものをあげる量が少ないという研究が科学雑誌『プラスワン』に掲載されました。

Cowell, J. M., Samek, A., List, J., & Decety, J. (2015). The Curious Relation between Theory of Mind and Sharing in Preschool Age Children. PLoS ONE, 10(2): e0117947. doi:10.1371/journal.pone.0117947.

アメリカのイリノイ州にあるシカゴ大学心理学部&経済学部、ウィスコンシン大学マディソン校消費者科学部の研究者らによる論文です。

3〜5歳児98人(女児が53人)が参加。平均年齢は51.7か月齢(SD=6.49)、彼ら就学前児童はシカゴに住む子供達で、社会経済的地位(socioeconomic status:SES)が低い家庭が多く、白人が13.6%、アフリカ系アメリカ人が50.5%、ヒスパニック系が35.8%と人種的に多様な実験参加者となりました。

心の理論課題として誤信念課題を使用。これは以下の論文(Wimmer & Perner, 1983)の誤信念課題。具体的な実験手続きは以下の通り。子供の性別に応じてサリーかスティーブンかどちらかのパペット人形を使用。彼/彼女がボールを隠して、部屋を去り他のパペット人形(アン/アダム)が他の場所にボールを移し、サリー/スティーブンが帰ってきて、彼/彼女はどこを探すか?という問題。アン/アダムがボールを移動させる前の場所を回答したら正解。

Wimmer, H., & Perner, J. (1983). Beliefs about beliefs: Representation and constraining function of wrong beliefs in young children’s understanding of deception. Cognition, 13(1), 103–128. doi:10.1016/0010-0277(83)90004-5.

シャアリング(共有行動)の行動評価のために独裁者ゲームを使用。子供に6つのスティッカーをあげて、好みかどうかを質問。好みでなかったら別のものに変更。それからスティッカーを貰う機会のない子供にスティッカーをあげてもいいよと教示。他の子供にあげたスティッカーの枚数がシャアリングの指標。

実行機能課題は空間葛藤矢印課題(Spatial Conflict Arrows:SCA)で抑制制御を、何かが同じゲーム(Something’s the Same Game:STS)で注意シフティング/柔軟性を評価。ワーキングメモリスパン課題も実施。

その結果、6個あるうちから平均的に2.5個のスティッカーを他の子供にあげました。性別・人種による違いは有意でありませんでした。また、どの実行機能の要素も共有行動を予測しませんでした。

しかし、心の理論課題をパスした子供は1.6個のスティッカーを他の子供にあげたのに対し、心の理論課題を突破できなかった子供は2.8個のスティッカーを他の子供に与えました。これは月齢を統制しても有意でした(p<.001, η2=.121)。

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posted by マーキュリー2世 at 19:16 | Comment(0) | TrackBack(0) | 発達心理学・発達障害 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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