2016年06月26日

認知負荷がネグレクトのリスク要因の1つとなる

赤ちゃんの泣き声を聞いて生じるとされる共感したり、お世話をしたいという気持ちは認知負荷が高いと低下し、ネグレクト意図が高まるという研究があります。また、認知負荷が高い→共感が低い→赤ちゃんが泣いていても世話をしようと思わない/育児放棄をしてもいいやと思うという媒介関係も発見されました。ただし、認知負荷が高くても、泣いている赤ちゃんに身体的暴力を振るいたいという気持ちは高まらないようです。

Hiraoka, D. & Nomura, M.(2016). The Influence of Cognitive Load on Empathy and Intention in Response to Infant Crying. Scientific Reports, 6:28247. doi: 10.1038/srep28247.

京都大学大学院教育学研究科の平岡大樹大学院生と野村理朗准教授による共著論文です。

子育て経験のない女子大生66人が参加(平均年齢21.80 ± 1.63歳)。続きを読む

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2016年06月19日

人は心臓の拍動音が自分のものかどうか認識できる

事前に記録した自分の心臓の拍動音と他者の心臓の拍動音を区別できる人が多いという研究があります。たとえ自分とほぼ同じ心拍数の人の心臓音を聞いたとしても、です。しかも、弁別判断がどの程度正確か分からなくても(メタ認知が低くても)、心音の自他識別ができるのです。また、心拍音は以前記録したものを呈示しただけですから、実験中の心臓ドキドキとは同期していない(と思われる)ことにも注意が必要です。

Azevedo, R. T., Aglioti, S. M., & Lenggenhager, B. (2016). Participants’ above-chance recognition of own-heart sound combined with poor metacognitive awareness suggests implicit knowledge of own heart cardiodynamics. Scientific Reports, 6:26545. doi: 10.1038/srep26545.

イタリアのIRCCS(gli Istituti di ricovero e cura a carattere scientifico)サンタルチア財団とローマ・ラ・サピエンツァ大学心理学研究科の研究者による共著論文です。なお、IRCCSとは科学的救護・治療協会というそうです。また、第一著者(ファーストオーサー)の所属先はイギリスのロンドン大学ロイヤル・ホロウェイ校心理学研究科行為・身体実験室(Lab of Action & Body)、ラストオーサー(最終著者)の所属先はスイスのチューリッヒ大学病院神経学研究科神経心理学教室に変わっています。

最終的にデータ解析に用いられたのは27人のデータ。女性が19人、平均年齢28.6歳。彼らは実験をするまでドップラー装置でとらえた自分の心臓の拍動音を聞いたことがありませんでした。なお、統制課題に参加したのは27人の内16人でした(女性8人,平均年齢30.3歳)。

実験課題の刺激は心臓音。心臓音は研究参加者自身のものと他者のものを用意しました。ドップラー装置で計測。心臓音は5秒間にカットし、1人につき全部で10個の音刺激を準備しました(ただし、2つに1つは同じ心臓音刺激だったので、種類は5つ)。聞かせた他者の心臓の拍動音は研究参加者の心拍数とほとんど同じものでした(心拍数の平均的な差は1.47 bpm)。続きを読む

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2016年06月08日

夜更かしすると他者からのアドバイスに従順になる

1晩夜更かしをすると、他者のアドバイスを受け入れやすくなるという研究があります。また、そのアドバイスの妥当性が高いと、寝不足状態でないよりも寝不足状態の方が判断成績が向上しやすく、最終的に睡眠状態が正常な人と遜色ないレベルになります。つまり、睡眠不足ならば、信頼できる人のアドバイスを聞くという方略が有効だということになります。

Häusser, J. A., Leder, J., Ketturat, C., Dresler, M., & Faber, N. S. (2016). Sleep Deprivation and Advice Taking. Scientific Reports, 6:24386. doi: 10.1038/srep24386.

ドイツのユストゥス・リービッヒ大学ギーセン社会心理学研究科、バンベルク大学心理学研究所、ヒルデスハイム大学心理学研究所、マックス・プランク精神医学研究所、オランダのラドバウド大学医療センタードンデルス研究所、イギリスのオックスフォード大学実験心理学研究科の研究者による論文です。

研究参加者は睡眠習慣に問題のない大学生96人(女子大生62人.男子大学生32人,データ解析に含めなかった人2人)。平均年齢25.6歳。

睡眠剥奪条件への割り当てはランダム(被験者間実験計画)。ここでの睡眠剥奪とは24時間寝ないで過ごすこと(午前8時に起床し、翌日の午前8時頃まで覚醒し続ける)。睡眠剥奪群に割り当てられなかった人(50人)はいつも通り就寝。ちなみに、睡眠剥奪群(46人)は映画や読書、音楽などで気を紛らわすことが許されていました(カフェインや刺激物の飲食は禁止)。続きを読む

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